届いた請求書から、振込データ(総合振込CSV)をどう自動で作っているか
仕入先から届く請求書を1件ずつ確認し、銀行の総合振込用データを手入力で作る。件数が増えるほど、口座番号の入力ミスや二重払いへの不安が増える作業です。当社も食品の製造・卸売を行う中で毎月多くの請求書を受け取っており、振込データの作成をAIで自動化しました。ただしお金を動かす部分は、最後まで人が確認してから実行しています。その理由も含めて説明します。
この記事の結論
- 振込データ作成の負担は入力の手間よりも、同名別会社の口座取り違えと二重払いへの確認の緊張感だった。
- 読み取り・検算・口座マスターとの突合・二重払いチェック・CSV生成までをAIに任せ、実行の判断とボタンは必ず人が行う。
- 常時の自動監視はトラブル対応コストの方が大きいと判断し、人が依頼したときにだけ処理する運用に変更した。
この仕組みの削減効果
月10件なら 約1.5時間の削減
※Roub社内での概算です。
この記事の内容
以前は、請求書1件の入力に約10分かかっていた
仕入先から届く請求書には、取引先名、税込請求額、振込先の銀行・支店・口座番号が書かれています。これを銀行の総合振込システムに1件ずつ手入力し、金額を検算し、口座番号や受取人名を間違えないよう確認する。同じ社名でも取引先が別会社で口座が違うケースもあり、思い込みで進めると誤送金につながります。
この確認と入力に、社内での概算で1件あたり約10分かかっていました。加えて、締め請求では「前回の請求額のうち、実はもう支払い済みの分」が繰越として乗ってくることがあり、そこを見落とすと二重に払ってしまう恐れもありました。
POINT
時間だけでなく、「同名の別会社の口座を取り違えない」「繰越分を二重に払わない」という確認の緊張感がこの作業の負担でした。
AIでどう変えたか(読み取りからCSV生成まで)
現在は次の手順で、請求書の読み取りから振込データの生成までを行っています。
- 請求書の読み取り:PDFや画像の請求書から、取引先名・税込請求額・振込先の銀行情報をAIが読み取ります。
- 金額の検算:明細の合計と消費税を足して、税込総額と一致するかを確認します。
- 口座マスターとの突合:社内の振込先マスターと照合し、請求書に書かれた銀行名がマスターのコードと一致するかを確認します。同名の別会社が存在する場合の取り違え防止のためのステップです。
- 二重払いのチェック:会計ソフトの入出金明細と突き合わせ、同じ取引先へ同額を既に振り込んでいないかを確認します。
- 振込データ(CSV)の生成:銀行の書式(受取人名は半角カナのみ、口座番号は7桁など)に沿って、振込用のCSVを作ります。文字種や桁数が書式に合っているかも自動で検証します。
この結果、社内での概算では入力そのものはほぼゼロになりました。人が行うのは、生成されたデータの最終確認と、実際に銀行のシステムへアップロードする操作です。
お金を扱う業務ほど、任せ方の設計が重要です。
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人が必ず確認しているところ
振込は取り消しがきかない場合がある業務なので、AIに任せるのは「データを作る」ところまでで、実行の判断は必ず人が行います。
- 生成されたCSVの取引先・金額・口座番号を、請求書の原本と見比べる
- 銀行・支店コードが社内マスターにも過去の履歴にも無い新規の取引先は、推測で入力せず、銀行のシステム上で名称を検索して人が個別に処理する
- 繰越額がある請求書は、直近の入出金明細と照らして二重払いになっていないかを人が判断する
- 実際に銀行のシステムへアップロードし、振込を実行するボタンは必ず人が押す
加えて当社では、以前は請求書フォルダを自動で監視して処理する仕組みも試しましたが、常時の自動監視はトラブル時の対応コストの方が大きいと判断し、人が依頼したときにだけ処理する運用に変更しました。自動化は「常に動かす」ことが目的ではなく、確認の負担を減らすための手段だと考えています。
導入するときに注意していること
- 振込先マスターの整備が前提になる:取引先名・銀行コード・支店コード・口座番号を正しく持っていないと、突合の精度が落ちます。同名の別会社がある場合は、判別できる情報(銀行名など)を必ずマスターに残します。
- 二重払いチェックの基準を決める:どのデータ(銀行の明細か、会計ソフトの記録か)を正とするかを最初に決めておきます。
- 文字種・書式のルールを事前に確認する:銀行によって受取人名に使える文字種や桁数の書式が異なります。振込データが弾かれる原因はほぼ書式違反です。
- 実行と確認の担当を分ける、または必ず二重に見る:金額を扱う業務なので、データを作る担当と、実行前に確認する担当(または確認の手順)を決めておきます。
他の食品事業者が真似るなら、何から始めるか
最初から自動化の範囲を広げすぎないことをおすすめします。当社もまずは取引先が固定されていて、毎回ほぼ同じ内容で届く請求書から始めました。取引先や金額のパターンが読めているほど、AIが読み取った内容の確認がしやすく、安心して任せられる範囲が分かってきます。
そのうえで、二重払いチェックのような「間違えると被害が大きい確認」を先に仕組み化し、データ作成の自動化はその後に広げる、という順番が無理がないと感じています。
まとめ:データ作成はAI、実行はいつも人
- 負担だったのは入力の手間より「取り違え」と「二重払い」への確認の緊張感だった
- 読み取り・検算・突合・二重払いチェック・CSV生成までをAIに任せる
- 実行前の最終確認と、実行そのものは必ず人が行う
- 振込先マスターの整備と二重払いチェックの基準づくりが前提になる
- まずはパターンが決まっている取引先から始める
当社は自社の支払い業務でこの仕組みを実際に運用しています。無料のAI業務診断では、御社の請求書処理・支払い業務の手順を伺い、どこを安全に自動化できそうかを概算でお伝えします。
よくある質問
振込データの作成は、どこまでAIに任せられますか。
請求書の読み取り、金額の検算、振込先マスターとの突合(同名の別会社の取り違え防止)、会計ソフトの入出金明細を使った二重払いチェック、銀行書式に沿った振込データ(CSV)の生成までをAIに任せています。実際の振込の実行は必ず人が行います。
振込データの作成にかかる時間はどう変わりましたか。
社内での概算で、1件あたり約10分かかっていた手入力の作業が、入力そのものはほぼゼロになりました。人が行うのは、生成されたデータの最終確認と、銀行のシステムへアップロードして実行する操作です。
AIが自動で振込を実行することはありますか。
ありません。振込は取り消しがきかない場合がある業務のため、AIに任せるのはデータを作るところまでで、銀行のシステム上で実行するボタンは必ず人が押します。常時の自動監視の仕組みも一度試しましたが、トラブル対応のリスクの方が大きいと判断し、人が依頼したときに処理する運用に変えました。
二重払いを防ぐには何を確認していますか。
締め請求では、前回の請求額のうちすでに支払い済みの分が繰越として乗ることがあります。会計ソフトの入出金明細と請求書の繰越額を照らし合わせて、二重に払っていないかを確認する手順を必ず組み込んでいます。
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