発注書から請求書の作成・送付を、どうAIで自動化したか
発注書が届くたびに、品目と数量を見ながら請求書を作り、金額を確認し、送り方を考える。件数が多い月ほど、この作業だけで半日が消えます。当社は食品の製造・卸売・小売を自社で行っており、毎月何十件もの請求書を自分たちで作っています。この記事では、発注書から請求書の作成・送付までをAIでどこまで自動化し、どこは必ず人が確認しているかを、実際の手順で説明します。
この記事の結論
- 請求書処理で時間がかかっていたのは、入力そのものより「品目名から単価・税率・送料を調べる」部分だった。
- AIには発注書の読み取り・単価照合・会計ソフトへの登録・下書き作成までを任せ、金額の最終確認と送信は必ず人が行う。
- まず毎月ほぼ同じ内容で発生する定期請求から自動化し、パターンが決まっている範囲から広げるのが無理がない。
この仕組みの削減効果
月40件なら 約15時間の削減
※Roub社内での概算です。
この記事の内容
手作業では、発注書1件の処理に何分かかっていたか
以前の手順は、発注書(PDFやメール添付の表計算ファイル)を開いて品目名を読み、社内の商品リストで単価を調べ、数量と税率(食品は8%の軽減税率、送料は10%)を確認して、会計ソフトの画面で1行ずつ入力するという流れでした。送料は取引先ごとに違うため、過去の請求書をさかのぼって単価を確認することもありました。入力が終わったら金額を見直し、共有リンクを発行して、メールソフトで送付用の文面を書きます。
この一連の作業にかかっていた時間は、社内での概算で1件あたり約25分です。品目数が多い発注書や、初めて取引する相手だと、単価の確認だけで時間がかかり、もっと長くなることもありました。月に数十件となると、この作業だけでまとまった時間を占めていました。
POINT
時間がかかっていたのは「請求書を作る」作業そのものより、「品目名から正しい単価と税率を探す」「送料の相場を調べる」という調べものの部分でした。
AIでどう変えたか(6つの手順)
調べものの部分をAIに任せる形に変えました。現在の流れは次の6手順です。
- 発注書の読み取り:PDF・表計算ファイル・メール本文のいずれでも、AIが品目名・数量・取引先名を読み取ります。ファイルが手元になくても、受信した発注メールを検索して本文から読み取れる形にしています。
- 単価・税率の特定:社内の商品マスター(表計算ファイル)と照合し、単価と税率(食品8%・送料10%)を自動で当てます。マスターに無い品目は「不明」として人に渡します。
- 送料の確認:会計ソフトに残っている過去の請求書から、その取引先への直近の送料単価を自動で拾います。
- 会計ソフトへの登録:品目・数量・単価・送料をAPI経由で会計ソフトの請求書として作成します。
- 共有リンクの発行:作成した請求書の共有リンクを発行します(会計ソフトのAPIが対応していない操作のため、画面操作で行います)。
- 送付メールの下書き作成:取引先ごとの宛先・文面でメールの下書きを作ります。ここで人が内容を確認し、問題なければ自分で送信します。
この結果、社内の概算で1件あたりの作業時間は約3分まで縮みました。空いた時間は、価格交渉や新しい取引先への提案づくりに回しています。
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人が必ず確認しているところ
AIに任せているのは「調べて入力する」ところまでで、お金が動く手前の判断は必ず人が行います。
- 作成された請求書の品目・数量・金額を、発注書と見比べて確認する
- 商品マスターに無い新規品目は、価格を人が決めて登録する
- 送付メールの下書きを読み、宛先と文面を確認したうえで自分で送信ボタンを押す
- 共有リンクの閲覧期限や、取引先ごとの送付ルールに例外がないかを見る
AIが自動で送信してしまう仕組みにはしていません。金額を扱う書類だからこそ、最後の一手は人が押す、という線を最初に決めました。
導入するときに注意していること
実際に運用してみて、事前に決めておくべきだったと感じている点です。
- 商品マスターの整備が前提になる:JANコードや品名の表記がAI側と揺れていると、単価の照合が外れます。マスターの表記ルールを先に揃えておくほど精度が上がります。
- 税率の扱いを最初にルール化する:食品の8%と送料の10%が混在するため、品目ごとの税率判定を最初に明確なルールにしておく必要があります。
- 取引先ごとの個別ルールを洗い出す:送料無料の条件や、請求書の宛名表記など、取引先ごとの例外は最初にリスト化しておくと後から慌てません。
- ツールの利用料と、社内の運用担当を決める:会計ソフトなどの利用料は継続費用になります。またAIに読み取らせたデータの取り扱い(社外に出してよい情報かどうか)は、社内で先にルールを決めておきます。
他の食品事業者が真似るなら、何から始めるか
いきなり全部を自動化する必要はありません。当社が最初にやったのは、毎月ほぼ同じ内容で発生する定期請求(数量やSKUだけが変わるもの)を1〜2社分だけ自動化することでした。パターンが決まっている請求ほど、AIに任せたときの誤りが少なく、確認の負担も軽いためです。
そこで手応えを確認できたら、発注書が毎回違う取引先に広げていく、という順番が無理のない進め方だと感じています。最初から全件を任せようとすると、確認する側の負担がかえって増えてしまいます。
まとめ:調べものはAI、送信の判断は人
- 時間がかかっていたのは「単価・税率・送料を調べる」部分だった
- 読み取り・照合・登録・下書き作成までをAIに任せる
- 金額の確認と送信の最終判断は必ず人が行う
- 商品マスターの整備と税率ルールの明確化が精度を左右する
- パターンが決まっている定期請求から始めると確認の負担が軽い
当社は食品専業の事業者として、この仕組みを自社の請求業務で実際に毎月使っています。無料のAI業務診断では、御社の請求・受発注の手順を伺い、どこをどれくらい削減できそうかを概算でお伝えします。
よくある質問
発注書から請求書を作る作業は、どこまでAIに任せられますか。
発注書の読み取り、商品マスターとの照合による単価・税率の特定、送料の確認、会計ソフトへの請求書登録、共有リンクの発行、送付メールの下書き作成までをAIに任せています。ただし請求書の内容確認と、送付メールを実際に送信する操作は必ず人が行います。
請求書処理にかかる時間は、AI導入でどれくらい変わりましたか。
社内での概算で、1件あたり約25分かかっていた作業が約3分程度まで縮みました。時間がかかっていたのは入力作業よりも、品目名から正しい単価・税率・送料を調べる部分だったため、その調べものをAIに任せたことで短縮できました。
AIが請求書を自動で送信してしまうことはありませんか。
ありません。送付用のメールはメールの下書きとして作成するところまでをAIが行い、宛先と文面を人が確認したうえで、送信ボタンは必ず人が押す設計にしています。金額を扱う書類のため、最後の判断は人が行うという線を最初に決めています。
この仕組みを導入するには何を準備すればいいですか。
商品名やJANコードの表記が揺れていない商品マスターと、食品8%・送料10%のような税率の判定ルールを先に整理しておくことが前提になります。表記やルールが整っているほど、AIによる照合の精度が上がります。
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